(つづき)
国境を越えて、反対側に出ると、
同じバスに乗っていた人々が誰もいなくなっている。
この時点ですでに薄々気づいていたのです、おいていかれたということに。
お金すでに全額払ってあるのに。
キルギスの太陽が燦燦と照り付けるなか、とりあえずバスがくるはずの場所に座って、待ってみる。
高校以来の、体育座り。
近くには、きれいな雪解け水がごうごうと流れる川があり、自然豊かな国という印象。
ただ、舞い上がる土埃、飛び交う怒号。延々と列を作って、入国・出国審査を待つ人々。
カオスという言葉が頭に浮かぶ。
30分待ったがやはり来ないので、とりあえず持ち金を両替して、市内まで行く公共バスをつかまえることを目指す。
小さい古屋の中に入っていくとある両替所。暗い中に、男の人が一人。
国境地帯だから、絶対割にあわないレートのはずと思いつつ、現地通貨が必要なので、とりあえず両替。
レシートはくれない。
次は公共バス探しである。
バス停のサインなどどこにも見当たらないので、まずは、歩きまわって、人が集まっているところを探す。
がたがたした歩道を、ひたすら歩いていく。
(次回につづく)